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 似たもの同士

琴子、なんでなんや・・・
どうして俺やなくて、入江なんや・・・
いくら考えも俺にはわからん。


俺は、あの入江と違ごうて、いつでもお前のそばにいたのに、お前の目はずっと遠くに
いる入江ばかり見とったな。

それでも俺は幸せやったで、お前を思い続けたこの5年間・・・
F組の教室で笑い転げているお前、学食のテーブルで俺の作ったランチをほおばる
お前・・・デートもしたな、遊園地に動物園。
バイクの後ろにお前を乗せて、俺の腰に回るお前の腕にドキドキと心臓が高鳴った。
一度だけ、抱きしめたことがあったな・・・なんだかお前、細くて壊れそうやった。


いつかお前が振り向いてくれる日を夢見て来たけど、ホンマにもうダメなんやな・・・
ずっと、入江がお前を好きになってしまうのを恐れとったんや。
それでも、まさかホントにそんな日が来るとは思ってなかったがな、お前が入江を好きや
なくなる時は、きっと永遠に来ないことはわかっていた気がするんや。

ただな、琴子。
俺わかるんや・・・誰かを好きで好きで仕方ない気持ち。
相手のことを想うと、胸が苦しくて、夜も眠れなくて、笑顔を見れれば嬉しくて、冷たく
されても会いたくて・・・


俺とお前は似てるな・・・ずっと好きでいられればそれでよかったんや。
もちろん自分を好いてもらえるに越したことはない話やけどな、それよりも俺は琴子を、
琴子は入江を好きでいられなくなるのが一番恐かったんや。


―なあ琴子、お前もそうやろ?


だから、良かったな・・・思いがかのうて。
俺がお前を想っていた月日と同じ月日を入江だけを想って過ごしたお前だから、やっぱ
喜んでやらんといかんのやろな・・・

ああ、それでもいくら考えても、あんな男のどこがいいのか俺にはさっぱりわからん。
あんな頭いいばっかりで、冷たくて情けのない男のどこがいいねん?
絶対に俺の方がいい男やで・・・俺の方がずっとお前を愛しとるって今でも信じとる。

でもな・・・


もう、お前の涙も、あんな辛そうな顔も見たくないねん。
だからな、お前がどうしてもあいつがいいって言うなら、あきらめるしかないんやろな。
あとになって泣いて俺のとこ来ても、もう知らんで・・・


俺たち似たもの同士やからな・・・


しかたないさかい祈っとたるわ・・・これからのお前の幸せを。



                                          END



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